営業許可制度の見直しについて
食品衛生法の改正により、2021年6月1日から食品の営業許可制度が大きく変更されました。
概要
- 食中毒のリスク、規格基準の有無、過去の食品事故・食中毒の発生状況等を踏まえて食品衛生法上の営業許可業種が再編され、漬物製造業、水産製品製造業、液卵製造業などが新たに許可業種となりました。
- 現行の許可業種のうち、食中毒リスクが低いと考えられる乳類販売業、氷雪販売業などは届出の対象となりました。
- 1つの許可で取り扱いが可能な食品の範囲が拡大されました。
- 営業許可施設に関する施設基準が変更されました。
営業許可業種の変更点
新たに許可業種として設定される業種
- 水産製品製造業…魚介類、その他水産動物またはその卵を主原料とする食品を製造する営業
- 液卵製造業…鶏卵から卵殻を取り除いたものを製造する営業
- 漬物製造業…漬物や漬物を主原料とする食品を製造する営業
- 密封包装食品製造業…密封包装食品であって常温で保存可能なものを製造する営業
(備考)密封包装食品:常温で相当期間保存することを目的として、缶・びん又はレトルトパウチ等の容器に内容物を充填し密封したもの(玄米、精米、麦類、そばの実、コーヒー豆、茶、焙煎麦、茶の代用品(乾燥品に限る)、乾燥きのこ類、乾燥雑穀類、乾燥種実類、乾燥豆類、はちみつ、干しいも、落花生(生鮮、茹でたものを除く)、乾燥海藻類、節類、削節類、液糖、加工ごま類、乾燥くずきり、乾燥スープ類、乾燥スパイス類、乾燥タピオカ、乾燥ハーブ類、乾燥パン粉、塩、ゼラチン、調理ルウ類、焼ふ、顆粒状又は粉末状の食品、顆粒状又は粉末状の食品を圧縮成形した又はカプセルに入れた食品、並びにこれらの食品を混合した食品、食酢は対象外です) - 食品の小分け業…営業許可業種の食品を小分けする営業
(備考)2021年6月1日時点で既にこれらの営業をしている場合は、許可の取得期限が2024年5月末に延長されます。
届出制度の対象(許可不要)となる業種
乳類販売業、氷雪販売業、食肉販売業(包装食品のみを販売する営業)、魚介類販売業(包装食品のみを販売する営業)、コップ式自動販売機(屋内設置・自動洗浄機能等ありの場合)
(備考)これらの営業は、2021年6月1日から届出対象となり、営業届出が必要です。ただし、2021年6月1日時点で既に営業している場合は、自動的に届出処理を行います。
新しい制度における許可業種(32業種)
- 飲食店営業(備考:喫茶店営業が統合されました。)
- 調理の機能を有する自動販売機により食品を調理し、調理された食品を販売する営業
- 食肉販売業
- 魚介類販売業
- 魚介類競り売り営業
- 集乳業
- 乳処理業
- 特別牛乳搾取処理業
- 食肉処理業
- 食品の放射線照射業
- 菓子製造業(備考:あん類製造業が統合されました。)
- アイスクリーム類製造業
- 乳製品製造業
- 清涼飲料水製造業
- 食肉製品製造業
- 水産製品製造業
- 氷雪製造業
- 液卵製造業
- 食用油脂製造業(備考:マーガリン又はショートニング製造業が統合されました。)
- みそ又はしょうゆ製造業
- 酒類製造業
- 豆腐製造業
- 納豆製造業
- 麺類製造業
- そうざい製造業
- 複合型そうざい製造業
- 冷凍食品製造業
- 複合型冷凍食品製造業
- 漬物製造業
- 密封包装食品製造業
- 食品の小分け業
- 添加物製造業
各許可業種で取り扱うことのできる食品の変更点
一部の許可業種で、取り扱うことのできる食品の範囲が拡大されました。
例(1)菓子製造業を取得している施設で製造したあん類を販売する場合に必要な許可
現在:菓子製造業とあん類製造業 改正後:菓子製造業
例(2)菓子製造業を取得している施設が調理パンを製造する場合に必要な許可
現在:菓子製造業と飲食店営業 改正後:菓子製造業
例(3)菓子やパンを製造、販売し、客が購入した菓子やパンに飲料を添えて施設内で提供する場合に必要な許可
現在:菓子製造業と飲食店営業 改正後:菓子製造業
施設基準の変更点
2021年6月1日から施設基準が変更となりました。施設基準は、各業種に共通する基準に加えて業種ごとの個別基準があります。営業許可を取得するには、共通基準と個別基準を満たす施設が必要です。
(備考)施設基準の詳細は、E-Gov法令検索から食品衛生法施行規則別表第19,20,21をご確認ください。
共通基準(一部抜粋)
- 住居その他食品等を取り扱うことを目的としない室又は場所と区画されていること。
- 従業者の手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式手洗い設備を必要な個数有すること。なお、水栓は、洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造であること。
- 次に掲げる要件を満たす便所を従業者の数に応じて有すること。
- 作業場に汚染の影響を及ぼさない構造であること。
- 専用の流水式手洗い設備を有すること。
個別基準(一部抜粋)
自動車による営業
簡易な営業(単一品目のみを取り扱うなど)にあっては約40L、比較的大量の水を要しない営業(簡易な調理を行う、複数品目を取り扱うなど)にあっては約80L、比較的大量の水を要する営業(複数の工程からなる調理を行うなど)にあっては約200Lの水を供給し、廃水を保管できる貯水設備を有すること。
漬物製造業
- 原材料の保管及び前処理並びに製品の製造、包装及び保管をする室又は場所を有すること。
- 原材料の前処理及び製品の製造をする室又は場所は、必要に応じて、洗浄、漬け込み、殺菌等をする設備を有すること。
- 浅漬けを製造する場合にあっては、10℃以下に管理できる冷蔵設備を有すること。
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