広報とよた2024年2月号 特集1 公共建築物探訪。

ページ番号1057645  更新日 2024年2月1日 印刷

市内には、機能だけでなく建物としても、魅力的な公共施設が数多くあること、ご存じでしたか?特に中心市街地には、文化、スポーツ、産業など様々な分野の公共施設が集まっています。そしてこの4月には、新たに豊田市博物館がその仲間入りをします。この特集では、今後ますます魅力的になる、中心市街地西エリア周辺の公共建築物を訪ねます。

美術館

美術館建築で名高い建築家・谷口吉生氏が設計した美術館は、全国的にも有名な豊田市の公共建築物の一つです。水平に広がる建物に対して壁に隠れた控えめなエントランス、展示室ごとに異なる空間造りや使用する材質へのこだわりなど、美術作品に向き合うために考え抜かれています。
また、大きな池のある庭園には屋外彫刻作品が点在し、散策を楽しむこともできます。

美術館 外観

美術館 外観と大きな池

美術館 階段

美術館 廊下

基本データ

  • 所在地…豊田市小坂本町8-5-1
  • 開館時間…午前10時~午後5時30分(入場は午後5時まで)
  • 休館日…月曜日(祝日は除く)、展示替えの期間、年末年始
  • 駐車場…248台
  • 問合せ…
    電話番号:0565-34-6610、ファクス番号:0565-36-5103
    Eメール:bijutsukan@city.toyota.aichi.jp

市民文化会館

敷地内地面から外壁、さらには内壁まで同じレンガ材を使用したどっしりとした見た目が特徴の建物。広場の中央に立つと、傾斜のついた壁がいくつも重なった複雑な構造になっているのがよく分かります。
屋内に入ると、ロビー正面の大きな壁画が目を引きます。宮永岳彦氏原画による綴錦織で、横幅は28メートルもあります。この綴錦織という技法は、古代エジプト王の墓から見つかった織物にも多く見られるそうです。そう言われてみると、施設の外観が砂漠のなかのピラミッドのように見えてきませんか・・・?
また、天井の高さが段違いだったり、外だけでなく中の壁まで傾斜がついていたりと、不思議な隠れ家感にわくわくする内観。久しぶりに訪れると、それまでの記憶とは違った楽しみ方が見つかるかもしれません。

市民文化会館 外観

美術館 ロビー

美術館 壁画

基本データ

  • 所在地…豊田市小坂町12-100
  • 開館時間…午前9時~午後9時30分
  • 休館日…月曜日(祝日・振替休日は除く)、年末年始
  • 駐車場…519台
  • 問合せ…電話番号:0565-33-7111、ファクス番号:0565-35-4801

産業文化センター・喜楽亭

地上5階地下1階建ての複合施設として昭和60年に開館したのが、産業文化センターです。幾何学形態の組み合わせによって未来をイメージした外観。メタリックなタイルが太陽に照らされると、海面のようにキラキラと光ります。内装は対照的に、やわらかいベージュ系のタイルや石などの自然素材を用い、親しみやすい空間造りを目指したものになっています。
同敷地内には、和風建築 喜楽亭があります。明治後期から昭和42年まで続いた料理旅館で、現在の神明町にありました。廃業後は住居として使用されていましたが、昭和57年に所有者から市へ寄贈され、現在の場所に復元移築。その際、3分の2の規模に減築となりましたが、大人2人が優にすれ違うことのできる広い廊下などから、この建物が旅館であったことが分かります。
今もなお、釘などの使用を最小限にとどめた建築当時の工法を受け継ぎながら修繕を繰り返し、古くからの姿を現代に残しています。

産業文化センター 外観

産業文化センター ロビー

産業文化センター 内装の石


喜楽亭 外観

喜楽亭 内装

喜楽亭 内装 階段

喜楽亭 内装 和室

基本データ

  • 所在地…豊田市小坂本町1-25
  • 開館時間…
    産業文化センター:午前9時~午後9時30分
    喜楽亭:午前9時~午後5時
  • 休館日…
    産業文化センター:月曜日(祝日・振替休日は除く)
    喜楽亭:月曜日・祝日・振替休日、年末年始
  • 駐車場…276台
  • 問合せ…電話番号:0565-33-1531、ファクス番号:0565-33-1535

逢妻交流館

中心市街地から西方向に少し足を延ばしたところに、ご紹介したい建物がもう1つあります。全国の建築ファンが豊田市美術館と合わせてよく見学に来るのが、この逢妻交流館です。平成22年に竣工したこの建物を設計したのは、妹島和世氏。建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞の受賞歴のある建築家です。
逢妻交流館は、各階の丸い個室が少しずつずれた形で3層に重なって構成されています。その最大の特徴は、曲面ガラスにより構成された透過性のある空間。内部からは外部の風景が入り込み、反対に外部からは内部での活動の様子がよく分かるようになっています。3階は半屋外で、見上げると丸く切り取られた空が覗きます。自然と一体となり、季節や時間帯によって異なる美しさを感じられる建物です。ぜひ夏と冬、朝と夜など雰囲気の違いを味わってみてください。

逢妻交流館 外観

逢妻交流館 丸い個室

逢妻交流館 ガラス

逢妻交流館 和室

逢妻交流館 夜の外観

基本データ

  • 所在地…豊田市田町3-20
  • 開館時間…午前9時~午後9時
  • 休館…月曜日(祝日・振替休日は除く)、年末年始
  • 駐車場…100台
  • 問合せ…
    電話番号:0565-34-3220、ファクス番号:0565-34-3400
    Eメール:ph-aizuma@city.toyota.aichi.jp

(備考)上記の施設は、観覧料が必要な場合や、開館日であっても見学や利用に制限のある場合があります。詳細は、各施設にお問い合わせください。

4月26日(金曜日)にいよいよ開館する博物館。今回は、まだ建設中の今の様子を少し覗いてみます。

博物館

建物の設計は、自然と調和した斬新なデザインで知られる坂茂氏。平成26年にプリツカー賞を受賞、同年にフランス芸術文化勲章(コマンドゥール)、平成29年に紫綬褒章を受章など、日本を代表する建築家の一人です。自然との共生や自然由来の材料を取り入れる坂氏の考えは、当館エントランスの木造屋根からもうかがうことができます。
庭園は、豊田市美術館の庭園を設計したアメリカのランドスケープデザイナー、ピーター・ウォーカー氏によるものです。隣にある美術館との繋がりや一体性を持たせています。

博物館 外観

博物館 エントランス

正面エントランスを入ると、吹き抜けの大きな空間。豊田市産の木材が使われた柱が並びます。ここは「えんにち空間」といって、パートナーや企業、学校とともに豊田市の歴史や自然、産業に関わる取組の成果を展示する予定です。天井の模様、何かに見えませんか?実は、豊田市章が隠れています。是非真下に立って探してみてください。


博物館 常設展示室

エントランス横の常設展示室には、高さ7.8メートルの展示棚があります。この日は空っぽの状態を見ることができました。棚いっぱいに展示物が並ぶ日がもう間もなくやってきます。


博物館 パイプ(紙管)でできた壁

再生紙のパイプ(紙管)でできた壁の一部。紙管は軽くて強度が高く、災害用シェルターの設計などで坂氏が積極的に採用してきた坂茂建築を象徴する資材です。


博物館 パイプ(紙管)でできた壁

設計当初に作成された模型。令和5年1月に開催した建設現場の見学会での公開後、開館までは朝日丘交流館で展示しています。

坂 茂 氏のコメント

豊田市は自動車産業を中心とした工業的な側面がありますが、一方、周辺町村との合併を行い、今では市域の70パーセントが森林である自然豊かな地域です。それゆえに豊田市にとっては環境負荷を抑えながら、産業を育てていくかが社会的に重要なテーマであると考えます。今回の博物館の建築は、木造建築や太陽光発電などを採用し、新築の博物館で初めてZEB Ready(注釈)の認証を取得した環境面に配慮した建築です。そして、矢作川の氾濫等によって本庁舎が被災した際に、災害対策本部を設置できる防災拠点になる施設でもあります。
その博物館の象徴となる空間が、木造の「えんにち空間」です。豊田市産材の杉材で作られ、豊田市の市章が屋根の梁のパターンになっている大屋根が博物館の活動を包み込みます。そこでは日々様々なイベントが行われ、何度も市民が訪れ、来訪者と出会い、郷土愛を育む場所となる事を期待しています。

(注釈)エネルギー負荷の抑制や自然エネルギーの積極的な活用等の省エネルギー手法を用いて、建物で消費するとされる基準一次エネルギー消費量から、年間50パーセント以上の一次エネルギー消費量を削減することができる建築物

豊田市駅・新豊田駅~掲載施設

  • 産業文化センター・喜楽亭 約400m・徒歩7分
  • 美術館・市民文化会館・博物館 約1km・徒歩17分
  • 逢妻交流館 約3.5km・車10分 

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