広報とよた2022年12月号 特集 みる・つくる・つながる 私たちのアート。
第60回!豊田市民美術展【12月4日(日曜日)~18日(日曜日)】を見に行こう。
市民の創作活動を幅広く応援し、その活動をさらに深めてもらうことを目的として、毎年開催している「豊田市民美術展」。今年12月の開催で60回目を迎えます。豊田市民美術展(通称:市美展)の魅力は、プロ・アマチュアを問わず様々なアートの面白さを感じられること。この特集では、記念すべき第60回豊田市民美術展の魅力をご紹介します。
豊田市民美術展とは
私たちが主役の美術展
豊田市民美術展を初めて開催したのは、昭和38年。当時から変わらないのは、誰もが主役になれるということ。豊田市在住・在勤・在学の人であれば応募できるため、作品をつくる人は経歴などに関係なく、自らの感性で自由に表現できます。また、数多くの作品を無料で鑑賞できるため、見る人も自分の感性で思う存分楽しむことができます。つまり、すべてが市民の皆さんによるものであり、市美展には豊田市に関わる私たちのアートが凝縮されていると言えます。
みる楽しさ
豊田市民美術展の魅力
6つの部門で多彩な表現を展示
豊田市民美術展は、(1)絵画の部、(2)彫刻・インスタレーションの部、(3)写真の部、(4)デザインの部、(5)工芸の部、(6)書道の部の6つの部門で構成され、各部門の専門家により審査を行い、入選作品を展示します。また部門ごとに、市長賞(最優秀賞)や各種賞が設定されています。
例年、10代から90代まで幅広い年代の人から数多くの応募があり、第60回の今回は420点もの作品が集まりました。多彩な発想や感性で表現された力作はどれも個性的なものばかり。あなたのお気に入りの作品に出会えることが、豊田市民美術展を見る楽しさの一つです。
前回の市長賞受賞作品
≪作品名≫素材
つくる面白さ
作品をつくり、出展する面白さはどのような点にあるのでしょうか。前回の豊田市民美術展で市長賞を受賞したお二人にお話を伺いました。
都築 宣博 さん
- デザインの部
造園業のかたわら、ライフワークとしてアート作品などの創作活動に励む。
私にとってアートとは、心が動くもの。
市美展に毎年出展するようになって、もう30年ほど経ちます。誰でも簡単に応募できて、それぞれが好きな分野で表現できる。そんな場所があるのは有り難いことです。私は普段の生活の中で、意図せず心が動く瞬間があると必ずメモを残すようにしています。歩いていて木漏れ陽の感じが良いなとか、建物の光の使い方が良いなとか。そして、寝かしていたアイデアが、またふとした瞬間に浮かぶ別のアイデアとつながり作品になります。例えば昨年に出展した作品は、過去に見て感動した面ノ木原生林の樹氷を、プラスチックダンボールという半透明の下地素材を用いて表現しました。この素材は、訪れたある建物の採光に使われているのを見て思いついたものです。「よく見ると発見がある」そんな作品をつくるのが好きです。アートとは、心が動くもの。ある人が、自分の心が動いた何かを表現し、それを見た人が、また何かを感じる。それはとても素晴らしいこと。自分の作品を誰かに見てもらえる、何かを感じてもらえるという喜びが、市美展の醍醐味だと思います。
水尻 愛 さん
- 彫刻・インスタレーションの部
大学で美術を学びながら、市美展への出展を通して自身の創作を探求する。
アイデアを形にするのが楽しい。
私は昨年、初めて市美展に作品を出しました。どんな作品かというと、細い樹脂を編んだり接着させたりしてつくる立体作品(主に衣装)です。実際に人が着ることもできます。グルーガンという、樹脂を溶かして打ち出す道具を使うのですが、他ではあまり見ない作風かと思います。思いついたきっかけは、大学入試のための作品づくりでした。その時のお題は「大学構内に落ちているごみを使う」というもの。拾った石や木を接着するために、グルーガンを初めて使いました。また、私は小さい頃から女の子や服を描くのが好きでした。今でも時折描いています。そんな時「あのグルーガンを使って服を作ったら、面白いんじゃないか」とアイデアが浮かびました。実際に作ってみたら、イメージがどんどん立体的になるのがとても楽しくて。
自分が面白いと感じたことを、他の誰かと共有したり、評価してもらえたりする市美展は素晴らしい場だと思います。今の作風をもっと発展させながら、今後も市美展で自分が面白いと思うものを表現していきたいです。
市美展運営委員長のことば
今年で60回目の「豊田市民美術展」は人で言えば還暦です。企業城下町として発展した豊田市に、平成7年(1995年)に開館した豊田市美術館は30年足らずで日本で最も注目される美術館の一つとなりました。11月まで開催していた「未生の美―技能五輪の技」展では、ものづくりに潜む美、自動車の部品であっても人の手により生まれた必然の形「用の美」が見られました。1,000万円を超える車や、時に100億円を超える絵画が注目されたりするけれども、それは高いからではないと思う。人の感性により生み出された優れたものには、私たちを引き付ける何かがあるような気がします。人は美しいものを求め、知りたい、探りたいと作品を作るのではないのでしょうか。記念の60回展に、美を追い求める多くの作品が集まるとともに、世代を超えた人々の目に触れることを期待したいと思います。
山本 富章 さん
豊田市美術展運営委員長
愛知県立芸術大学名誉教授
昭和24年愛知県生まれ
国内外で作品発表
つながる場
豊田市民美術展のほか、「市民が主役」の美術展をご紹介します。アートを通じて、作品をつくる人、みる人の心がつながります。
第60回 豊田市民美術展
- とき…12月4日(日曜日)~18日(日曜日)午前10時~午後6時
(備考)9日(金曜日)、17日(土曜日)は午後8時、18日(日曜日)は午後4時まで
(備考)5日(月曜日)、12日(月曜日)は休館 - ところ…市民文化会館 展示室A・B
- その他…18日(日曜日)は午後1時から表彰式、午後2時から受賞者によるトーク有り
第60回を記念した特別企画展「 After Prize ― 豊田の美術 」
第1回から60年の歴史における、市長賞などの受賞作品やこれまでの市美展の歩みをたどる資料、歴代受賞者の新作の数々を展示します。還暦を迎える市美展の、これまでとこれからを考えるシンポジウムも開催します。
- とき…12月14日(水曜日)~25日(日曜日)午前10時~午後5時30分
シンポジウム/12月17日(土曜日)午後2時~4時
出品作家ギャラリートーク/12月24日(土曜日)午後2時~3時30分 - ところ…美術館ギャラリー
(備考)19日(月曜日)は休館
障がい者作品展(受賞作品の展示)
- とき/ところ…
12月5日(月曜日)~9日(金曜日)/市役所東庁舎1階ロビー
12月19日(月曜日)~23日(金曜日)/市役所南庁舎2階ロビー
高齢者作品展
- とき…2023年1月19日(木曜日)~22日(日曜日)午前10時~午後5時
- ところ…市民文化会館 展示室A・B
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