この人に、会いに。 Vol.11

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ページ番号1079395  更新日 2026年10月1日

受け継いだ一幕を、次の世代へ

満足しない。だから、舞台に立ち続ける

写真:稽古中の鈴木祐輔さん

9月の土曜の夜、市歌舞伎伝承館に響く鈴の音と、鼓の拍子。子ども歌舞伎の役者に稽古をつけているのが今回のこの人、鈴木祐輔さんです。

鈴木さんと小原歌舞伎の出会いは小学5年生の時、公民館で公演を見て、面白そうと思ったのが始まりでした。裏方の手伝いから関わり始め、その後中学から役者として本格的に舞台へ。高校3年生で小原歌舞伎保存会に正式に入会しました。

役者として舞台に立ち26年、若いながらも保存会の中では大ベテランの鈴木さんですが「これまで自分の出演する幕に満足したことはない」と語ります。「けれど、大きな舞台に立ち、演技を拍手で終えることができた時は大きな喜びや続けていこうという励みになる」。この達成感が、長年歌舞伎を続ける原動力の一つになっています。


写真:小原文化祭りで披露する寿式三番叟の稽古の様子

地域の伝統芸能である小原歌舞伎を「自分の代で途絶えさせたくない」と伝え継ぐことへの強い思いを持っている鈴木さん。今では、役者として活動する傍らで、師匠として稽古をつける側に立つことが増えています。


現在は、小原文化まつりで「寿式三番叟」を演じる中学生と高校生の2人を指導しています。「自分たちは所詮素人。だからこそ、役を演じるために、この幕に込められた物語を知ることが大切。それが分かると演じることが面白くなる」と語ります。だから稽古の時も語って聞かせるのだそう。

指導を受ける2人は鈴木さんについて「説得力のある、歌舞伎愛を感じる人」と話します。


写真:「鬼一法眼三略巻一條大蔵譚」一條大蔵卿を演じる鈴木さん

鈴木さんは、歌舞伎の魅力や楽しさについて「歌舞伎は役者だけではできない。三味線奏者がいて、太夫がいて、裏方がいて…。全員で一幕を作っている。少しでも関心を持ち、一緒に歌舞伎をやってくれる人を増やしたい」と話します。

一人の観客として小原歌舞伎に出会い、役者となり、今度はその魅力を伝える立場になった鈴木さん。稽古に励む子どもたちを見つめる真剣な眼差しの奥には、小原歌舞伎を次の世代へつないでいこうとする静かな情熱が宿っていました。

  • 写真:鼓を打ちながら指導する鈴木さん
  • 写真:受け継がれる三番叟の台本
  • 写真:稽古の様子
  • 写真:実際に動きを見せる鈴木さん
  • 写真:子ども歌舞伎役者に化粧をする鈴木さん

映像はこちらからご覧ください。