広報とよた2024年7月号 特集1 命育む、矢作川。

ページ番号1059486  更新日 2024年7月1日 印刷

桜の咲く季節になると三河湾から多くのアユが遡上する。
夏に大きく育ち、秋になると川を下り、下流域の瀬で産卵し生涯を終える。
矢作川は、アユを始めとする様々な生き物が棲む場所です。自然環境を守りながら、人や生き物が暮らしやすい環境であるために人と流域、生き物はどのように関わっているのでしょうか。
今号の特集では、矢作川やそこに生息する生き物、矢作川を守る人たちについてご紹介します。

矢作川ってどんな川?

矢作川は、長野県を源流に、岐阜県、愛知県を流れ、三河湾へと注ぐ中規模の一級河川です。幹線流路延長は118キロメートル、流域面積は1,830平方キロメートルです。古来から、舟運、アユ漁、洗濯、水遊びの場など人々の生活と矢作川には深い関わりがあります。また、流域住民を主体とした環境保全活動にも長い歴史があります。

私たちの暮らしと矢作川

矢作川の上流域には広大な山林、中下流域には世界有数の自動車産業に代表される工業地域と日本デンマークとも呼ばれる農業地域があります。舟運によりまちが栄え、水利用により産業が発展してきました。本流には7つのダム・えん堤があり、私たち流域住民は矢作川の水を水道、農業、工業、発電などで多目的に利用しています。矢作川は、私たちの暮らしや産業に欠かせない存在なのです。

矢作川に生息する生き物たち

矢作川には上流から下流まで多様な環境があり、それに応じた様々な生き物が生息しています。ここでは、市内で見られる生き物を紹介します。 

アユ

アユ
海と川とを行き来する回遊魚で、川底の石についた藻を食べて育ちます。寿命は短く、約1年でその一生を終えます。


二ホンカワトンボ

二ホンカワトンボ
中型の流水性のトンボです。未成熟の個体は胴体が金属光沢のある青緑色で、成熟すると写真のような青白い粉をふいた色になります。オスとメスで翅の色が違います。


カワヨシノボリ

カワヨシノボリ
ハゼの仲間の淡水魚で、吸盤状の腹びれを持っています。石や植物にペタッとくっついている姿がとても愛らしいです。


ヒゲナガカワトビケラ

ヒゲナガカワトビケラ
水生昆虫で、幼虫の時の体は芋虫型です。成虫になると灰色と黒色が混ざった翅を持ち蛾のように見えます。名前のとおり長い触角が特徴です。(幼虫と成虫)


二ホンイシガメ

二ホンイシガメ
黄褐色の甲羅が特徴的な日本固有種のカメです。季節に応じて水田や畑などを餌場や産卵場所として利用することが知られています。


カワシオグサ

カワシオグサ
糸状に生長する緑藻で、1990年代には川底を覆うほどに繁茂しました。中流域の川底の石に見られることがあります。

川を訪れるときは

安全に楽しく生き物を観察するためには、いくつか注意点も。
豊田市公式YouTubeと矢作川探訪マップを事前にチェックしてから川に行きましょう。

豊田市公式YouTubeチャンネル
「川に入る前の準備」「生き物の捕まえ方」「生き物観察のポイント」を4回に分けて紹介しています。

矢作川探訪マップ
「川に行くときのルール」や「川のことば」などを掲載しています。

矢作川研究所ホームページでも「矢作川の生き物」を紹介しています!

人も生き物も暮らしやすい環境目指して

矢作川研究所は、矢作川が抱える問題を解決に導くために、市民や関係機関と一体となって、多彩な活動に取り組んでいます。今後も、人と生き物が暮らしやすい自然豊かで健やかな流域づくりを目指します。

矢作川研究所の取組

  • 天然アユが元気に育つ川づくり
    天然アユが元気に育つ要因を探るため、アユの生息状況や川底の状態など多角的に調べています。
  • 川辺づくりを応援
    矢作川の川辺が望ましい姿になることを目指し、住民による水辺愛護活動をサポートしています。
  • 自分たちの手でふるさとの川づくり
    土砂や草によって荒廃してしまった身近な小川を地域住民と共に再生する活動を行っています。
  • 矢作川を次世代へつなぐ
    矢作川の豊かな自然や文化を子どもたちに継承するため、自然観察会への講師派遣やミニシンポジウムなどを行っています。

矢作川を守る地域の人たち/小渡セイゴ水辺愛護会

市内では、河川の良好な水辺の景観を守るため25団体の水辺愛護会が活動しています。
今回は、平成20年4月に設立して以来、小渡地区で矢作川上流部の川辺の草刈りや竹の伐採、ごみ拾いの活動をしている「小渡セイゴ水辺愛護会」の皆さんにお話を伺いました。

“目標はこの場所をみんなの「憩いの場」にすること”
「活動開始当初は、竹の伐採や草刈りをしては、また生えてと作業の繰り返しでした。終わりの見えない作業に苦労を重ねる日々。このままでは自分たちの体がもたないと感じました。
そこで、学生ボランティアを募集し、切った竹を運ぶ作業を手伝ってもらうことに。こうした協力を受けながら、少しずつ活動を続けてきた結果、「道路が明るくなって助かった」と地域住民から声を掛けてもらえるようになったんです。
本当に大変な作業ですが、若い世代は消防団や祭りなどの活動を頑張ってくれています。その代わりに、私たち親世代は川の整備を頑張ろうと思いました。役割を分担して、みんなが一つになっていい町にしていきたいと思います。小渡を訪れる人に道路から見える矢作川の景観を綺麗だと思ってもらえたら嬉しいです。」

矢作川研究所設立30周年記念イベント

矢作川研究所は、今年で設立30周年を迎えます。その記念に、矢作川研究所が取り組んできた調査研究について研究員が解説するイベントや意見交換会などを開催します。

五感で感じる矢作川~川の中の石を拾って、生き物の声を聴く~

  • とき
    8月24日(土曜日)
  • ところ
    矢作川中流(扶桑町付近)を予定
  • 内容
    研究員による川底の石や生き物の解説

矢作川研究所設立30周年記念シンポジウム

  • とき
    2025年2月1日(土曜日)
  • ところ
    博物館
  • 内容
    研究員による報告、意見交換などを予定

詳細や申込みは矢作川研究所ホームページ

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このページに関するお問合せ

矢作川研究所
〒471-0025 
愛知県豊田市西町2-19
電話番号:0565-34-6860 ファクス番号:0565-34-6028