この人に、会いに。 Vol.02
自然素材で 昔ながらの傘を作る
和傘職人・岡田佳子さん
岡田佳子(おかだよしこ)さん
足助町在住。三州足助屋敷の傘職人である母親の誘いで傘作りの世界へ。愛猫3匹、鶏2羽と暮らす。好きなものは牛乳、着物、浮世絵。
自然を生かすことで 強く、美しい傘に
ちょっと上手くなっていると気づく。その瞬間が嬉しい。
しとしとと、雨模様の香嵐渓。
ピンと張られた和紙に雨粒が落ち、軽快で心地良い音が頭上に響く。
見上げれば緻密に組み合わされた美しい骨組。繊細さと頑丈さ。どこか完成された佇まいがある。
三州足助屋敷の一角に和傘職人・岡田佳子さんの作業場はあります。
岡田さんは、かれこれ31年の職人歴を持つベテラン。
番傘のほか、蛇の目傘、日傘、曲芸傘など様々な和傘を手がけ、県外にも多くのお客さんがいます。その腕前は、東大寺 (奈良県)の番傘を長年納めてきたり、祇園祭(京都府)綾傘鉾の数十年ぶりの骨組新調を引き受けたりするほど。
特筆すべきは制作工程の広さ。自ら山に入って竹を調達し、竹骨を組み、最終工程の紙張りまでを一貫して行います。しかも機械を使わずに竹骨を作る人は全国でも希少。
「紙張りは母に教わり、竹骨作りは岐阜県の骨師に弟子入りして教わりました。長くは滞在できなかったので、ノウハウだけ教わったら足助に戻って、一人で習得することに。当然ながら、頭で分かっていてもなかなか上手くいかず、本当に苦労しました。師匠に何度も電話して教えを乞い、でもやっぱり感覚的な部分が多くて…。もがくうちに、何とか形になりました。今思えば、まだまだな仕上がりの物もあったと思いますが(笑)」。
そう言って岡田さんが見せてくれたのは、最近作った竹骨の束。
「傘の骨は、竹の繊維を壊さないようにその流れに沿って割きます。真っすぐじゃないから、丸竹から無駄なく割かないと、骨と骨の間に隙間ができて、美しくならないんです」。
竹の姿に戻すことで生まれる収まりの美しさ。それは自然を理解し取り入れてきた先人の知恵。
「番傘は長い歴史の中で洗練され行き着いた形だと思います。だからその昔ながらの傘作りに忠実でいたい。約30年、ひたすら作っていますが、未だになるほどと思う時はあるし、ちょっと上手くなっていると気づく瞬間が嬉しい。それがずっと私のモチベーションです」。
作業場のある建物から外に出て、そっと番傘を差してみる。雨模様が、何だか少し 楽しく思えた。
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