広報とよた2021年7月号 特集 私たちのくらしと水道
普段当たり前に使っている水道水。料理、洗濯、風呂、トイレなど生活する上で、なくてはならない存在ですが、なぜ蛇口をひねると水が出てくるのか考えたことはありますか?この機会に「当たり前」について考えてみましょう。
水道のはじまり
現在の日本の水道は、新型コロナウイルス感染症のような伝染病の流行をきっかけに、今から約130年前に始まりました。当時は「コレラ」など不衛生な水による伝染病が流行し、多くの人が亡くなりました。そのため、コレラ菌侵入の恐れが多かった横浜などの港湾都市を中心に、まん延防止のための水道が整備されていきました。
豊田市では、今から70年前の市制施行後まもなく水道事業が始まり、昭和31年に中心市街地の一部に給水したのが始まりです。市の発展とともに給水範囲を広げ、現在では42万人の市民の生活と経済活動を支えています。
知っていますか?世界の水道事情
国土交通省がまとめた「令和2年版日本の水資源の現況について」によると、水道水を蛇口からそのまま飲むことができる国は、世界中に日本を含めてわずか12か国しかありません。また、安全な水を自宅で入手できない人は、世界に22億人いると言われており、SDGs(持続可能な開発目標)の目標の一つとしても「安全な水とトイレを世界中に」が定められています。世界の現状を見ると、安全な水道水が使えることが当たり前でないことが改めて分かります。
水道水はどこから来るの?
豊田市で使われている水道水がどこから来るか知っていますか。豊田市の水道水の約80%は愛知県営水道から受水しており、その水源は、矢作ダムなどです。また、約15%が市内の地下水、約5%が山間地域などの中小河川を水源としています。
各水源から浄水場に送られた水は、ろ過や消毒のための薬品(塩素)を加えられることで、安心して飲むことができるきれいな水になります。
きれいになった水は、浄水場から配水場(配水タンク)に送られ、道路下にくまなく張りめぐらせた配水管を通って各家庭や事業所などに届けられます。
山村部が7割を占める豊田市では、高台にある配水場に水を送る施設(ポンプ場)など、数多くの施設や管路を経由して届けられます。
水道管はこんなにも長い!
市内全体の水道管の長さは令和元年度末時点で約3,650キロメートル。これは、青森県から山口県までを往復できるほどの長さです。
同じ中核市である豊橋市(約2,230キロメートル)、岡崎市(約2,150キロメートル)と比べても、非常に長い水道管を管理していることが分かります。
安全で安心な水を届けるために
豊田市には、水道管路が約3,650キロメートル、配水場・ポンプ場などの施設が約400か所あります。皆さんの家庭で、安全な水を安心して使えるように様々な安全管理を行っています。
集中監視
水道水を見守る集中監視
各施設の状態をオンラインで24時間監視し、刻々と変化する水道水の使用水量に応じて適切な水運用を行っています。各施設の機器異常、水質や水圧低下などの変化を早期に発見しています。
水質検査
安全性を確認する水質検査
信頼性の高い水質検査を保証する「水道水質検査優良試験所規範(水道GLP)」の認定を取得し、国の基準よりも厳しい目標値を定めて管理しています。検査の結果は、市ホームページで公開しています。
施設点検
安全性を高める施設点検
市内の各地域に点在する水道施設では、機器の点検や調整、消毒効果の確認などを毎日行っています。集中監視で異常が発見された場合には、24時間いつでも対応が行える体制を整えています。
漏水修繕
安定供給のための管路の漏水修繕
日々実施している漏水調査や管路点検、情報提供で見つかった管路漏水に対して、速やかに修繕を行っています。市民の皆さんに安全に水道水を送るため、24時間対応できる体制を整えています。
YouTubeで豊田市の水道や水質に関する動画を公開中です。
豊田市の水道水について楽しく学べる動画です。是非ご覧ください!
豊田市の水道の現状とこれから
老朽化への対策を進めています
豊田市の水道管は、主に昭和後期から平成中期にかけて整備されてきたことから、法定耐用年数を過ぎている水道管は平成30年度末時点で約450キロメートル、20年後には約2,300キロメートル(全体の約6割)となるなど、今後さらに老朽化は進行していきます。
老朽化が進むと、水道管の破損などが原因で漏水が起こり、道路の陥没や断水によって市民生活や経済活動に支障をきたすリスクが高くなることから、令和2年度に策定した「水道ストックマネジメント計画」に基づき水道管と施設の更新を計画的に進めていきます。
地震への対策を進めています
東日本大震災や熊本地震では、水道管や施設に甚大な被害がありました。大規模な地震が発生しても、市民の皆さんへ安定した給水を行うため令和2年度に策定した「新水道耐震化プラン」により、医療機関などへ配水している重要な水道管や基幹となる配水タンクなどの施設の耐震化と応急給水施設の整備を進めていきます。
地震に強い水道管に更新し、大規模な地震に備えています。
これからも水道を守っていくために
『私たちの暮らしになくてはならないのが水道です。災害が発生した場合などでも、安全な水をお届けできるようにすることを常に考えています。
安全で安心な水道水を蛇口まで届けるためには、配水場や水道管などの日ごろの管理とともに、老朽化対策や地震対策も重要な取組であり、今後も多くの時間と費用が必要です。「蛇口をひねればいつでもきれいな水が使える」この当たり前を市民の皆さんと一緒に守っていくために、引き続き水道事業へのご理解とご協力をお願いします。』
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