広報とよた2020年9月号 特集 誰もが自分らしく笑顔で暮らせる社会を目指して 認知症について知ろう!
9月は認知症への理解を深める「世界アルツハイマー月間(注釈)」です。認知症について理解し、思いやりの気持ちを持つことで、誰もが自分らしく笑顔で暮らせる社会の実現を目指しましょう。
(注釈)認知症の中で、最も多くの割合を占めるのがアルツハイマー型認知症。1994年に国際アルツハイマー病協会(ADI)が、世界保健機関(WHO)と共同で、毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定。この日を含む9月の「世界アルツハイマー月間」では、世界各地で様々な団体が認知症に関する啓発活動を行っている。
認知症って何?
認知症とは、脳の病気など様々な要因で、脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりして、認知機能(情報を分析したり、記憶したり、思い出したりする機能)が低下し、普段の生活に支障をきたす状態です。
「今朝食べたものを忘れる」などの加齢によるもの忘れと異なり、「体験したこと自体を忘れる」、「もの忘れの自覚が乏しい」などの症状がある場合は、認知症の可能性があります。
加齢によるもの忘れ | 認知症によるもの忘れ | |
---|---|---|
体験したこと | 一部を忘れる 例:朝食の献立 |
全てを忘れている 例:朝食を食べたこと |
もの忘れの自覚 | ある | 乏しい |
探し物に対して | 自分で努力して 見つけようとする |
誰かが盗ったなどと 他人を疑うことがある |
日常生活への支障 | ない | ある |
時間の見当 | つく | つきにくい |
2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症
国内では、高齢化にともない、認知症患者数が増加しています。
2025年には認知症患者は700万人を超え、65歳以上の高齢者のうち、約5人に1人が認知症になると推計されています。
さらに、2050年には1,000万人を超えると予想されていて、社会的な課題となっています。
認知症になるのは高齢者だけじゃない!
65歳未満で発症する認知症は若年性認知症と呼ばれています。
40~50代の若い世代が発症する場合もあり、仕事や子育てなどと重なることで、本人や家族の負担が大きくなる傾向があります。そのため、周りの理解と手厚いサポートが必要になります。
市内では、約200人の若年性認知症患者がいると推計されています。
このように、認知症は誰もが発症する可能性があるものです。自分自身や家族のため、認知症についての理解を深めましょう。
認知症と向き合うある夫妻の思い
認知症を発症すると日々の生活にどのような影響があるのか?認知症を発症した本人やサポートする家族の思いは?実際に認知症と診断されたAさん(夫)と、Aさんを支えるご家族(妻)にお話を聞きました。
認知症は不便だけれど不幸ではない
Aさん(73歳)
私は認知症であると診断されましたが、自分ではその自覚がありません。ただ、日常生活は妻に付き添ってもらっています。
私は人とコミュニケーションを取るのが大好きです。
デイサービスなど外の人と接する時には、相手の気持ちを考え、「話の呼吸」を合わせるんです。そうすると相手も心を開いてくれます。相手との「空気が合う」=「気が合う」ということですね。このように人とコミュニケーションを取ることが自分自身にとって良い刺激になっているんだと思います。
私と妻は性格が真逆で、認知症になる前はそれぞれ好きなことをしていましたが、今ではどこに行くのも一緒です。そうした生活になったことで、例えば妻の趣味である旅行にも付いていくようになりました。
私は旅行があまり好きではなかったのですが、付いていってみると案外面白いものだなと思いました。新たな発見ですね(笑)
妻とは喧嘩をすることもありますが、時々感謝の気持ちを伝えると喜んでくれます。これも相手の気持ちを考え、「話の呼吸」を合わせるテクニックだと思います。
認知症であっても、前向きに楽しく暮らしていますし、自分らしく生きています。偏見はもたないでほしい。認知症は不便だけれど、決して不幸ではないんですね。
人生は一度きり。笑って過ごせる人生が一番だと思いますし、これからも自分らしく生きていきたいと思います。
日々のサポートは大変。でも、新しい発見も
Aさんの妻(69歳)
夫の変化に気が付いたのは9年ほど前です。
「趣味の手品の道具をどこに片付けたか分からない」というささいな症状から始まり、やがて場所や季節なども分からなくなりました。
不思議なことに、発症当時よりも現在の方が症状は緩和したのですが、それでも私が付き添っていないと、日常生活には支障があります。
日々のサポートは正直大変。何度も同じ質問をしたり、お風呂から出てこなかったり…。
ずっと一緒に家にいると負担が大きくなるので、情報交換も兼ねて、認知症の家族会へ参加するなど、いろいろな人たちと交流するようになりました。同じ悩みを持つ人と話をすることで、少し気持ちが楽になったと思います。
日常生活は確かに大変ですが、新たな発見もありました。
夫は週2回デイサービスを利用していて、そこで塗り絵や習字、工作をすることがあります。認知症になる前は、そういったものに全く興味がなかった夫ですが、いざやってみると上手だったんですね。これには本人も驚いていました(笑)
もともと人と交流することが好きだった夫は、デイサービスも楽しんで行っていますし、人と関わることで良い刺激にもなっているみたいです。
認知症の症状は人によって様々ですし、家族の負担もそれぞれ違いがあると思います。
でも、置かれた状況は違えど、本人の思いをできるだけ尊重してあげることが、認知症と向き合う上で大切なことなのではないでしょうか。それが「誰もが自分らしく生きる」ことにもつながるのだと思います。

雌しべや雄しべなど細かい部分まで丁寧に作り込まれている。
認知症を正しく理解することが、誰もが自分らしく暮らせる社会につながる
豊田厚生地域包括支援センター 管理者 小林 宏美さん
私が働いている地域包括支援センターでは、認知症を発症した人やその家族に寄り添いながら、負担を少しでも軽減できるよう様々なアドバイスを行っています。また、認知症の人だけでなく、地域住民も気軽に立ち寄れる「認知症カフェ」の運営なども行っています。
この仕事に携わる中で感じたことは、「認知症になったら何もできなくなる」という誤解が社会の中にあるということです。
認知症になってもできることはたくさんあります。本人に地域社会の中でしっかりと役割を持ってもらうことで、認知症の進行を遅らせることができます。
地域社会が正しく認知症を理解し、本人の気持ちを尊重しながら適切にサポートしていく。それが、誰もが自分らしく暮らせる社会を実現するために必要なことだと思います。
認知症の人と接する時は、7つのポイントを意識!
認知症の人と接する際、気をつけたい7つのポイントがあります。この7つのポイントを意識し、実践することで、認知症にやさしいまちづくりを一緒に目指しましょう!
7つのポイント
(1)まずは見守る
(2)余裕をもって対応する
(3)声をかけるときは1人で
(4)後ろから声をかけない
(5)やさしい口調で
(6)おだやかに、はっきりした話し方で
(7)相手の言葉に耳を傾けてゆっくり対応する
具体例 キョロキョロと周りを見渡し、道に迷っている人を見かけた場合

(真後ろから大きな声で)
こんにちは!!どうされましたか?!

(正面からやさしい声で)
こんにちは。何かお困りですか?
解説:一定の距離を保ち、相手の視野に入ったところで、目線を合わせながらやさしい口調で話しかけましょう。唐突な声かけは禁物です。

認知症について詳しく学べる!認知症サポーター養成講座

講座を受講した人にオレンジリング
をお渡しします。
認知症サポーターとは、「認知症について正しい知識を持ち、認知症の人やその家族を温かく見守る応援者」のことです。市内では約3万人が認知症サポーターになっています。認知症サポーター養成講座では、認知症の基礎知識や具体的な対応ポイントなどを学べます。
(備考)申込み方法などの詳細は市ホームページをご覧ください。
認知症では?と心配になったら一人で悩まず相談を!
認知症は誰でもなる可能性があります。自分自身や家族について、「もしかして認知症では?」と心配になった時は、かかりつけ医や地域包括支援センターにご相談ください。悩みを一人で抱え込まず、まずは相談してみましょう。
かかりつけ医・専門医
受診・診断・治療に関する相談については、まずはかかりつけ医に相談してください。必要に応じて、かかりつけ医が認知症専門医療機関やもの忘れ外来の専門医を紹介します。
地域包括支援センター

介護・福祉・保健・医療など様々な相談ができる高齢者の総合相談窓口です。豊田市では、中学校区ごとに設置していて、地区ごとに認知症カフェや介護予防教室、介護者による交流会などを開催しています。詳細は、各地区の地域包括支援センターにお問い合わせください。
地域包括支援センターの一覧(地区を50音順で表記)
- (逢妻)ほっとかん地域包括支援センター 電話番号:0565-36-3006
- (旭)ぬくもりの里包括支援センター 電話番号:0565-68-2338
- (朝日丘)社協包括支援センター 電話番号:0565-32-4342
- (足助)足助地域包括支援センター 電話番号:0565-62-0683
- (井郷)豊田福寿園地域包括支援センター 電話番号:0565-45-5357
- (石野)石野の里地域包括支援センター 電話番号:0565-78-6711
- (稲武)いなぶ包括支援センター 電話番号:0565-82-2530
- (梅坪台)豊田地域ケア支援センター 電話番号:0565-34-3209
- (小原)ふくしの里包括支援センター 電話番号:0565-65-1600
- (上郷)地域包括支援センターかずえの郷 電話番号:0565-21-6725
- (猿投)地域包括支援センター猿投の楽園 電話番号:0565-45-3717
- (猿投台)こささの里地域包括支援センター 電話番号:0565-46-9677
- (下山)まどいの丘包括支援センター 電話番号:0565-90-4335
- (浄水)豊田厚生地域包括支援センター 電話番号:0565-43-5022
- (末野原)みなみ福寿園地域包括支援センター 電話番号:0565-24-5000
- (崇化館)ひまわり邸地域包括支援センター 電話番号:0565-33-0801
- (高岡)わかばやし園地域包括支援センター 電話番号:0565-51-1255
- (高橋)地域包括支援センターくらがいけ 電話番号:0565-80-1244
- (藤岡)ふじのさと包括支援センター 電話番号:0565-76-5294
- (藤岡南)地域包括支援センター藤岡の楽園 電話番号:0565-75-1258
- (豊南)トヨタ地域包括支援センター 電話番号:0565-24-0623
- (保見)地域包括支援センター保見の里 電話番号:0565-48-3004
- (前林)つつみ園地域包括支援センター 電話番号:0565-51-5206
- (益富)地域包括支援センター益富の楽園 電話番号:0565-41-7788
- (松平)笑いの家地域包括支援センター 電話番号:0565-58-5152
- (美里)地域包括支援センターとよた苑 電話番号:0565-87-3700
- (竜神)ひまわりの街地域包括支援センター 電話番号:0565-47-8158
- (若園)みのり園地域包括支援センター 電話番号:0565-53-6361
認知症の悩みを共有できる場もあります!
認知症介護家族会
認知症の人を介護する家族が集まり、月に1回交流会を開催。介護の悩みや対応方法などの情報交換、専門職を講師に迎えた勉強会を行っています。
- 問合せ 基幹包括支援センター(電話番号:0565-63-5279)
若年性認知症本人家族会スマイル
65歳未満で認知症を発症した人とその家族が集まり、月に1回交流会を開催。「気持ちが楽になる」「安心して集まれる」「仲間がいる」会を目指し、活動しています。
- 問合せ 高齢福祉課(電話番号:0565-34-6984)
社会全体で認知症の人の見守りを!
今後、市内でも高齢化が加速し、認知症患者数はさらに増えると予想されます。その際、必要となってくるのが、「地域の力」です。市では、市民一人一人が認知症の人などを見守る仕組みとして「かえるメールとよた」を運用しています。この機会に是非ご登録をお願いします。
かえるメールとよた
登録者に行方不明者情報をメール配信し、早期発見につなげるサービスです。
(備考)t-toyota-city@sg-p.jpに空メールを送信して登録!
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このページに関するお問合せ
福祉部 高齢福祉課
業務内容:高齢者福祉の企画・調整、認知症、老人福祉施設等に関すること
〒471-8501
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