報道発表資料 低速自動運転車事故検証委員会 検証結果報告

ページ番号1035447  報道発表日 2019年11月28日 印刷

令和元年8月26日に豊田市で実施した自動運転車両の公道走行実験中に発生した事故に関して、名古屋大学の事故検証委員会から、以下のとおり、検証結果の報告がありましたので、発表します。

委員会の設置年月日

令和元年9月5日

委員会の構成

  • 委員長
    佐宗 章弘 副総長(学術研究・産学官連携担当)、未来社会創造機構長
  • 委員
    中東 正文 副総長(国際・法務・リスク管理・内部統制担当)
    村瀬 洋 大学院情報学研究科 教授・研究科長
    山田 陽滋 大学院工学研究科 教授
    小栗 宏次 愛知県公立大学法人 愛知県立大学情報科学部 教授
    山内 幸彦 国立研究開発法人 産業技術総合研究所中部センター 所長代理
  • アドバイザー
    内田 信行 一般社団法人 日本自動車研究所 安全研究部 副部長
    二宮 芳樹 未来社会創造機構 特任教授
  • オブザーバー
    愛知県経済産業局産業部産業振興課
    豊田市企画政策部未来都市推進課
    公益財団法人豊田都市交通研究所

設置目的

本委員会は、令和元年8月26日に名古屋大学未来社会創造機構所属の研究グループが豊田市で実施した自動運転車両の公道走行実験中に発生した事故(以下「本件事故」という。)に関して、事故の状況を把握したうえで、発生原因を究明し、今後の安全確保、再発防止策を提言することを目的としている。

検証経過

  1. 委員会開催
    令和元年9月5日、9月30日、10月29日、11月27日:全4回
  2. 委員・専門家による個別調査
    令和元年9月12日~令和元年11月26日:全8回
  3. 再発防止策・評価試験
    令和元年11月1日~令和元年11月8日

事故の直接原因

本件事故の直接的な原因は、自動運転車両の位置・方位検知機能が進行すべき方位を誤検知したことにより、誤った急操舵が生じたことであった(図1)。誤検知を引き起こす要因としては、コンピューター、センサ系の遅延等により、初期推定値の真値からのずれが拡大することで、検知探索機能が正常に働かなくなったためである可能性が極めて高い。しかし、本件事故の事後解析データからは、上記の複合化された誤検知プロセスを完全に再現することは不可能であった。そこで、初期推定値の誤差を疑似的に発生させるシミュレーション試験を行った結果、方位の誤検知が生じうることが確認された。

本件事故に関する問題点

運用面での問題点

1 リスクアセスメント水準の低さ

実験実施者が実験計画を申請する段階およびその審査段階において、事故の発生を事前に予見するためのリスクアセスメントの技術的水準が低く、実験条件を具体的に明確にしたうえでのリスクアセスメント評価(システム面、運用面、体制等)が適切にできていなかった(図2)。

  • 申請時に提出するリスクアセスメント実施記録簿の内容が不十分であった。
  • 車両実験専門委員会に、安全面および自動運転に関する専門的見識を持つ者を必ず任命する制度ではなかった。
  • 本実験の実施研究者が以前に実施した低速自動運転車の公道実験を事前に審議していたことから、本件事故の実験をその一環としてメール審議により許可した。
  • 実験終了後に報告を受け、実施状況を管理する体制ではなかった。

2 実験実施体制の不備

  • 当該事故が発生した際の関係機関への連絡が、実験計画書の緊急連絡体制のとおりでは機能しなかった。
  • 届け出内容と異なり、伴走車が走っていなかった。
  • 書類の更新不備により、実験計画申請書の実験参加者に運転者が記載されていなかった。

技術的問題点:不十分なフェールセーフ対策

現在の技術レベルでは、位置・方位検知機能の誤検知の可能性をゼロにすることは実効上不可能である。本件事故においては、その対策としてドライバー操作のみに依存した対策しかなされていなかったため、十分な安全を担保できなかった。自動運転システムの構成として、それが原理的に発生しうるものであるとの認識のもと、十分なフェールセーフ対策を講じるべきであった。

再発防止策

運用面での再発防止策

1 車両実験審査体制の強化(図3)

  • 車両実験専門委員会に自動運転やロボティクス分野のリスクアセスメントを行える専門家を加えるとともに、未来社会創造機構内に審査プロセスの実態を把握し、組織、運用の脆弱性を常に指摘できる制度(仮称:自動運転実証実験推進協議会)を設ける。
  • リスクアセスメント実施記録簿を、個々の実験条件に応じて適切に対応できる内容に改訂し、自動走行実験の審査プロセスにおいて、実験実施場所ごとに詳細な実験条件や体制などを明記したうえでのリスクアセスメントを実施し、車両実験専門委員会において詳細な聞き取りを行ったうえで実験の可否を判断する体制を構築する。また、実験実施後には実施報告書を提出し、実施状況を確認する。
  • 審査を通じて実験実施者に対して実験の計画および実施に関する指導を行い、リスクアセスメントの技術向上や実験実施時の安全管理を徹底させることで、自動運転車実験に関係する者の能力向上を図る。

2 実験実施体制の徹底

下記のように、実験実施体制を実効あるものとなるよう徹底する。

  • 本件事故の緊急連絡体制は、特定の個人を経由しないと関係各所への連絡が取れない体制となっていたために、有効に機能しなかった。そこで、緊急時の連絡体制としては、個人ではなく組織的な窓口を用意し、そこから関連する個人に情報を展開する等の実効性を伴う体制とする。また、複数人で連絡を担当する際には、優先順位を明記する。
  • 実験計画申請書では、実験実施体制を審査するうえで、参加者の役割等を一括して記述するのではなく、運転や伴走車等の役割を実験実施期間内に変更する場合は、詳細な稼働期間やその理由等を明記させる。
  • 実験の実施事項や課題などを端的に記述した日報を作成し関係者間で共有する。実験に参加できない関係者とも情報を共有することで、必要な支援などを得やすい環境を作る。また、実験期間中でも、異常時および実施体制や予定に大きな変更が生じた場合には、実験管理責任者に報告し、実験継続可否の判断、必要な対策の指示を仰ぐ。
  • 運転者への事前教育項目に必要事項を追加する。また、実験時には運転者に対して、周辺に危険要因のある地点ではハンドルに手を添える、ブレーキを構える等の運転姿勢をとらせる。

技術面での再発防止策:フェールセーフ対策の強化

1 位置・方位検知機能の監視機構(図4(1))

まず、車両の物理的運動量を直接的に計測する方法(タイヤ角センサおよびジャイロセンサ)のデータから現在の旋回角速度(度/秒)を計算することで、位置・方位角変化の参照値とする。この旋回角速度参照値と、位置・方位検知機能単独により、3次元点群から算出した方位角の変化(角速度)を比較し、差分値が一定以上となった場合は、異常として扱い自動停車処理を呼び出す機能を搭載する。この時、許容される差分値を数度/秒以内に制限することで、異常発生時の急操舵発生を抑止する。

2 走行経路計算の監視(図4(2))

走行予定経路(高精度道路地図の道路線形)から、近傍の経路上を走行するために必要な速度と旋回角速度を算出することで参照値とし、走行制御に用いる走行経路計算の結果(速度と旋回角速度)との差分値が一定以上になった場合は、急加速および急操舵を防止するために、自動停車処理を呼び出す機能を搭載する。

3 センサ・認識系の作動状態監視機能(図4(3))

各種センサおよび認知機能(ジャイロ、車体CAN、LiDAR、カメラ、方位検知、経路計画等)の更新を監視し、設計された時間内に応答がない場合は、自動停車処理を行う機能を搭載する。

4 自動停車処理との連動(図4(4))

上記1~3に連動した自動停車処理を搭載する。自動停車処理は、速度を緩やかに減速させ、旋回角度は処理開始時の値を維持する設計とする。

5 後続車、交差車両警告機能の導入

運転者から死角になる後方部分および交差点走行時に交錯する車線上に障害物が接近した場合、音声、警告灯等で警告を行う機能を導入する。

6 飛び出し等に対する非常停止機能の導入

従来の障害物に対する自動停車機能を強化するために,運転手の反応時間では停車が困難な障害物が直前に出現した際に、自動的に緊急停車を行う機能を導入する。

問い合わせ先

  • 実証実験に関すること
    豊田市企画政策部未来都市推進課 電話:0565-34-6982
  • 事故検証に関すること
    名古屋大学研究協力部社会連携課 電話:052-788-6143

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